セリティを学ぶ 第一部
2章 / 全4

響き合う生命、交差するオーラ

セリティを学ぶ 第一部 第2章

nakano
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アフリカ哲学

セリティの思想は、単なる道徳的な教えを超えて、この世界がどのように成り立っているかという形而上学的な問いにまで及びます。ベルギーの宣教師プラシード・テンペルズが『バントゥー哲学』で喝破したように、アフリカ的宇宙観において、存在(Being)とは「力(Force)」そのものです。

万物は独立した物体ではなく、互いに影響し合い、増幅し、減退し合うエネルギーの波動として捉えられます。セリティとは、その個別の存在が放つ「生命力の波形」です。この視点は、20世紀の哲学者マルティン・ブーバーが説いた「我と汝」の関係性と驚くほど共鳴します。

ブーバーは、世界を対象として扱う「我とそれ」の関係ではなく、互いの人格を丸ごと受け入れ、その間に流れる「間(あいだ)」を生きる「我と汝」の関係に、真の人間性を見出しました。セリティの哲学では、この「間」こそが影の交差する場所です。

伝統的なソト族の考えでは、二人の人間が出会うとき、そこでは物理的な肉体が近づくだけでなく、二人のセリティが交じり合います。もし一方が邪悪な意志を持っていたり、精神的に不調であったりすれば、そのセリティの乱れは相手の影をも侵食し、不和や病を引き起こすとさえ考えられました。私たちは、ただ隣に居るだけで、互いの生命力を分け合い、書き換え合っているのです。

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