古文辞学

nakano
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概要

古文辞学とは、江戸時代中期の思想家・荻生徂徠(おぎゅう そらい)によって提唱された日本の儒学(古学)の一派です。

南宋の朱熹による朱子学など、後世の主観的・形而上学的な解釈を排し、古代中国(先秦時代)の言語や制度文物(古文辞)を実証的かつ歴史的文脈で読み解く方法論(古文辞学)を確立しました。それにより、聖人たちが構築した社会制度としての「道」の本来の意味を直接明らかにすることを目指しました。

詳細解説

1. 朱子学の「性即理」に対する批判

朱子学は「性即理」(人間の内なる本性こそが宇宙の根本原理である理と同一である)とし、内面を修養し「礼」を実践することで現実社会が整う(修身から平天下へ)と主張しました。 徂徠はこれに対し、人間の心に「理」を求める内省的なアプローチは空理空論(精神論による現実逃避)に陥ると批判しました。

2. 「道」とは客観的・人為的な社会制度(礼楽刑政)である

徂徠は、「道」を内面道徳ではなく、古代の聖王(先王)たちが天下を治め人民を安んじるために人為的に考案した具体的な外的制度——礼楽刑政(れいがくけいせい)——であると定義しました。

  • 朱子学(内から外へ):人間の内なる道徳心(理・性)から「礼」が生まれる。
  • 徂徠学(外から内へ):歴史的に構築された客観的な制度(礼)を実行することによって、人間の秩序や内面が形成される。

3. 思想史における意義

徂徠の古文辞学は、政治や社会制度の設計を個人の道徳(精神論)から解放し、客観的・人為的な「組織・法度」の設計として捉え直すという、きわめて近代的なアプローチの萌芽となりました。これは江戸中期の制度改革論や、後の本居宣長らの国学における文献学的な研究手法の発展にも多大な影響を与えました。


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