関係論的量子力学
nakano
5 min read
概要
関係論的量子力学(Relational Quantum Mechanics: RQM)は、現代物理学者カルロ・ロヴェッリが1996年に提唱した量子力学の解釈です。「物理世界は独立した実体(モノ)から成るのではなく、関係性のネットワークによってのみ成立している」と主張します。
詳細解説
RQMの根幹にあるのは、物理系の「状態」は絶対的なものではなく、あるシステムが別のシステムとどのように相互作用するかという「関係」においてのみ定義されるという考え方です。
- 絶対的視点の否定 観測された事実より前に存在する「絶対的かつ客観的な状態」を否定します。観測者(人間である必要はなく、相互作用する他のあらゆる物理システム)との関係において初めて、特定の物理量が値(リアリティ)を持ちます。
- 唯識思想(依他起性)との共鳴 ロヴェッリ自身も著書『ヘルゴランド』の中で言及しているように、この考え方は古代インドの仏教哲学者ナーガールジュナ(龍樹)の「空」や、唯識思想における「依他起性(すべては関係性の中で一時的に生起する現象である)」と深く共鳴しています。物事を「固定した実体(島)」として捉える素朴実在論から、「つながり合う動的なプロセス(波)」として捉える世界観へのコペルニクス的転回を物理学の言語で説明しています。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- カルロ・ロヴェッリ 著『世界は「関係」でできている:美しくも過激な量子論』(NHK出版、2021年)
- Wikipedia「関係論的量子力学」