墨守
nakano
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概要
墨守(ぼくしゅ、Bokushu)は、固く守ることを表す言葉です。現代では、古い習慣や自説を変えずに守るという否定的な意味でも使われます。その背景として広く知られるのが、『墨子』「公輸」に描かれた墨子の守城譚です。
ただし、後世の熟語の意味と、『墨子』本文の主張は同じではありません。「公輸」が示すのは、単に変化を拒む頑固さではなく、侵略を断念させるために説得と守備を組み合わせる姿です。
詳細解説
「公輸」篇では、楚が公輸盤の攻城兵器で宋を攻めようとします。墨子は楚へ赴き、侵略の不義と不利益を説きます。さらに帯を城壁に、木札を守備兵に見立てて模擬戦を行います。
公輸盤は九度にわたり攻城法を変えますが、墨子にはなお守る手段が残っていました。墨子は、弟子の禽滑釐ら三百人が宋の城上で守備の器具を整えているとも告げます。物語では、説得だけでなく、攻撃が成功しないことを示す備えが侵略の断念へつながります。
『墨子』後半には、城門、梯子、地下道などへの対処を扱う守城諸篇があります。これらは墨家文献に高度な防衛知識が含まれていたことを示します。一方、すべてを墨翟一人の発明としたり、墨家が関わった城は決して落ちなかったと断定したりする根拠にはなりません。
現在「墨守」と言うときは、文脈に注意が必要です。守るべきものを現実的な技術で支える積極的な意味と、理由を問わず旧説へ固執する消極的な意味が離れているからです。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- 『墨子』「公輸」
- Stanford Encyclopedia of Philosophy, “Mohism”
- 墨翟(著)、山田琢(訳)『墨子』(中央公論社)