墨守
nakano
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概要
墨守(ぼくしゅ、Bokushu)とは、現代の辞書では「古い習慣や自説を固く守って変えないこと(融通が利かないこと)」という否定的な意味で使われることが多い言葉ですが、その語源は、古代中国の墨家集団が誇った「鉄壁の城壁防衛能力」に由来します。
詳細解説
墨子は「非攻(侵略戦争の否定)」の思想を掲げましたが、それを実現するためには、言葉だけでなく「守る力」が必要だと考えました。墨家は当時の最先端の防衛技術(城壁の設計、迎撃兵器の開発、地下トンネル戦への対抗など)を持つ武装エンジニア集団でした。大国が小国を侵略しようとすると、墨家集団が急行して小国の防衛を支援し、その城は決して落ちなかったと言われています。
この「墨家の守りは絶対に破られない」という事実から、「固く守り抜く」ことを「墨守」と呼ぶようになりました。有名なエピソードとして、楚の国の工匠・公輸般(こうしゅはん)が開発した新兵器による侵略計画に対し、墨子が自らの帯を城壁に見立てて模擬戦を行い、公輸般のあらゆる攻撃を九度にわたって完全に防ぎきって侵略を断念させたという故事があります。
墨守という言葉は、理想(平和)を現実に定着させるためには、実力(防衛力・抑止力)が不可欠であるという、墨子の徹底した現実主義を象徴しています。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- Wikipedia「墨家」
- 墨翟(著)、山田琢(訳)『墨子』(中央公論社、1996年)