非命

nakano
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非命(ひめい)

概要

非命とは、当時の中国で広く信じられていた「人間の富や貧困、社会の治乱はすべて天の定めた運命(命)である」という運命論を真っ向から否定する墨子の思想です。墨子は、運命論が人々を怠惰にさせ、「仕方がない」という諦めの空気を作り出して組織や国家を衰退させると厳しく批判しました。

詳細解説

墨子は運命論に代わるものとして「強(きょう)」(つとめて働くこと、自律的な努力)を唱えました。平和や豊かさは宿命によって与えられるものではなく、人間自身の能動的な行動によって獲得されるべきものだという強い人間賛歌が込められています。

西洋のストア哲学におけるエピクテトスの「コントロールできないものを手放し、コントロールできるものに集中する」という考え方と響き合いますが、墨子の非命は個人の内面的な悟りにとどまらず、組織全体の活力を奪うバグ(怠慢や無気力)を排除するための「集団的実践の哲学」として機能していました。

組織内で「仕方がない」という言葉が蔓延することは、自律性の喪失(非命の崩壊)を意味し、それは組織の弱体化のシグナルとなります。

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