中道(ちゅうどう)

nakano
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概要

中道(ちゅうどう、サンスクリット:Madhyamā-pratipad)は、仏教の実践と理論の基盤となる姿勢です。ナーガールジュナにおいては、単なる「真ん中を取る」という折衷案ではなく、「実体がある」という認識の前提そのものを超えていく論理的・実践的な道を指します。

詳細解説

ナーガールジュナが『中論』で示した中道は、以下の二つの極端(二辺)を同時に否定することで成立します。

  1. 常見(じょうけん): すべては固定的に存在する、という実体論。
  2. 断見(だんけん): すべては完全に存在しない、という虚無論。

中道とは、このどちらの立場も「固定的な実体がある」という同じ前提(執着)に基づいていることを見抜き、その前提を手放すことです。これにより、執着に縛られない「鏡のような自由な知性」が拓かれます。

中観派の展開

ナーガールジュナ以降、彼の思想をどう表現し、実践するかについて二つの大きな学派が現れました。

  • 帰謬論証派(プラサンギカ): 独自の主張を立てず、相手の主張を内部から解体する(プラサンガ)ことで空を指し示す流派。チャンドラキールティなどが代表。
  • 自立論証派(スヴァータントリカ): 共通の論理的前提を置き、空を積極的に論証しようとする流派。バーヴィヴェーカなどが代表。

この概念が登場するブログ記事

さらに深く知るためのガイド

  • Wikipedia 中道
  • 三枝充悳『中論 ― 縁起・空・中の思想』(全3巻、第三文明社・レグルス文庫)