プラサンガ / 帰謬論証 (Prasanga)
nakano
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概要
プラサンガ(Prasaṅga)は、一般に「帰謬論証(きびゅうろんしょう)」と訳されます。ナーガールジュナおよび中観派(帰謬論証派)が用いた独特の論法で、対論者の「何らかの実体がある」という主張に対し、その前提を認めると論理的な矛盾や不合理が生じることを示す手法です。
詳細解説
この手法の最大の特徴は、論者が独自の肯定的主張(定立)を一切持たないという点にあります。
- 否定による指し示し: 言葉で「これが真理だ」と肯定した瞬間に、その言葉は新たな執着や「実体」として立ち上がってしまいます。プラサンガは、あらゆる主張を解体し尽くすことで、言葉の限界を露呈させ、言葉にならないリアリティ(空)を逆説的に指し示します。
- プラサンギカ(帰謬論証派): 7世紀のチャンドラキールティは、この「独自の主張を立てない」手法こそがナーガールジュナの正統な継承であると主張し、バーヴィヴェーカの自立論証派(スヴァータントリカ)と鋭く対立しました。
日常の実践においては、安易に「レッテル」を貼って判断を下す前に、そのレッテルの矛盾に気づき、一呼吸置くための知的な刃として機能します。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- 桂紹隆『インド人の論理学』
- 立川武蔵『中観の思想』