無用の用
nakano
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概要
「無用の用(むようのよう)」とは、荘子が説いた逆説的な価値観です。一般に「有用」とされるものは、その有用性ゆえに酷使され、早くに消耗したり命を落としたりしますが、一方で「無用」とされるものは誰にも顧みられないため、天寿を全うし、独自の豊かさを享受できるという考え方です。
詳細解説
『荘子』に登場する「巨大な樫の木」の寓話が有名です。この木は建築材としても棺桶としても「役立たず」だったため、大工に切り倒されることなく数千年の樹齢を全うしました。
現代思想の文脈では、ジャック・デリダの「脱構築」とも響き合います。私たちは「有用/無用」という二項対立において前者を特権化しがちですが、無用の用はその階層構造を解体し、排除された側にこそシステムの外部へと繋がる扉があることを示唆します。
効率や評価という他者のモノサシから自由になり、自らの生命そのものが持つ本有的価値を肯定したとき、人間は「資源」としての自分から脱し、自律した生命へと立ち戻ることができます。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- Wikipedia「荘子」
- Wikipedia「脱構築」
- 荘子『荘子』
- ジャック・デリダ『根源の彼方に』