ザカート――定められた喜捨

nakano
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概要

ザカート(Zakāt)は、イスラームの五行の一つに数えられる、定められた喜捨です。単発の善意ではなく、一定の条件を満たす財産から、定められた受給者へ配分する宗教的義務として実践されます。

具体的な対象資産、基準額、率は、クルアーンの一節だけで完結せず、ハディースと法学の伝統の中で整えられてきました。一般に知られる2.5%は代表的な率ですが、すべての財産に一律に適用される単純な数字ではありません。

誰に配るのか

クルアーン第9章60節は、施しの配分先として、貧しい人、困窮する人、施しの事務を担う人、負債を負う人、旅人などを挙げます。渡す側の善意だけでなく、受け取る側と配分の役割を具体的に示している点が重要です。

第2章261節以降は、神の道のために費やすことを実を増やす種にたとえる一方、施しを言い立て、相手を傷つけることを戒めます。金額だけでなく、受け取る人の尊厳も倫理の一部です。

サダカとの違い

ザカートが定められた義務であるのに対し、サダカはより広く、自発的な施しや善行を含みます。両者はともに他者のために財を用いる行為ですが、法的な位置づけを同じにすることはできません。

ロールズとの比較

ロールズの格差原理は、社会経済的不平等が最も不利な人々の最大の利益になる場合に限って認められるという制度原理です。弱い立場の人を配分の中心から見る点は比較できます。

ただし、ザカートは格差原理の古い制度版ではありません。ロールズは自由で平等な市民の公正な協働から制度を構想し、ザカートは神への服従、礼拝、共同体の義務として位置づけられます。共通の問題意識と、根拠の違いを両方見る必要があります。

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さらに深く知るためのガイド

  • クルアーン第2章261〜281節、第9章60節、第59章7節
  • ザカートの具体的な制度を調べる際は、クルアーン本文と法学上の規定を区別する