万物一体(ばんぶついったい)
王陽明が『大学問』で示した、孺子・鳥獣・草木・瓦石への異なる応答に、一体の仁の働きを見る陽明学の倫理思想。
致良知(ちりょうち)
王陽明が重視した陽明学の実践概念。心に本来ある良知を、私意で曇らせず、一つ一つの具体的な事において十分に働かせること。
知的非暴力(知的アヒンサー)
「アネーカーンタヴァーダ」を倫理実践として捉えた概念。他者の視点の部分的真実性を認めることを、知的な次元での非暴力とする思想。
我と汝 (I and Thou)
マルティン・ブーバーが提唱した、他者を機能や対象としてではなく、全体性を持った人格として向き合う真の出会いの関係性。
事上磨錬(じじょうまれん)
現実の事柄の中で良知を働かせ、心を磨く陽明学の修養論。静かな内省だけでなく、目の前の関係・責任・行為の中で学ぶことを重視する。
本然の性と気質の性
性を理の側から語る「本然の性」と、理が現実の気質を離れずに現れることを語る「気質の性」。二つの別個の性ではなく、一人の人間を異なる焦点から捉える。
モト(Motho)
ソト・ツワナ語群における「人間」の概念。単なる生物学的存在ではなく、セリティを磨き、他者との調和ある関係を築くことで到達する「完成された人間性」を指す。
修復的司法(Restorative Justice)
犯罪を「法の違反」ではなく「関係性の破壊」と捉え、懲罰ではなく対話を通じた関係の修復を目指す司法のあり方。
生への畏敬
アルベルト・シュバイツァーが提唱した倫理思想。自己の生きようとする意志と他者のそれとを等しく尊重し、生命を維持し促進することを善とする。
サウボナ (Sawubona)
「私はあなたを見ている」という意味のズールー語の挨拶。単なる挨拶を超え、相手の存在、歴史、そして神性を認める深い相互承認の哲学を指す。
性即理(せいそくり)
朱熹が『中庸章句』で、人物に賦与された性を理として捉えた命題。性の善さと同時に、気稟の差、日用の道、学びと教えの必要を含む。
セリティ(Seriti)
「影」を意味する南アフリカの思想。個人の存在が周囲に及ぼす「響き」や「生命の磁場」であり、他者との関係性の中で立ち現れる尊厳の形。
心即理(しんそくり)
王陽明が提示した陽明学の核心命題。道徳的な理を心から切り離さず、具体的な事の中で心の私意を除き、理を尽くす修養へつなげる。
心統性情(しんとうせいじょう)
心が性と情を統べるという張載の命題を朱熹が受け継いだ心の構造論。性を心の理、情を心の動きとして、両者を一つの心のはたらきの中で捉える。
天志
人間社会の秩序を主宰し、善を賞し悪を罰するという「天」の意志。感情に左右されない絶対的な判断基準(共通プロトコル)として機能する。
ウブントゥ(Ubuntu)
「人は他者を通じて人となる」という相互接続性の存在論を示す、南部アフリカの社会哲学。
良知と知行合一(陽明学)
王陽明の心即理・良知・致良知・知行合一を、原典上のつながりと私意による妨げの両面から捉える概念ノート。