セリティ
概要
セリティは、北ソトを中心とする文脈で、影、人格、個性、尊厳、倫理的資質、祖先や儀礼との関係などが重なる概念です。一つの日本語に置き換えると、別の側面がこぼれます。
Matome Bethuel Rathete は、現代社会と伝統社会から現れ、個人または集団の尊厳を高める、倫理的・宗教的・神秘的あるいは形而上学的な諸性質として定義しています。Rathete の論文は北ソトに特に焦点を当てており、ここでの説明をアフリカ全体の単一の世界観へ拡張することはできません。
詳細解説
1. 影・人格・尊厳
Rathete が参照する北ソト研究では、セリティは身体・魂 moya と並べて語られ、夢に現れる超自然的な影とも説明されます。同時に、人格、個性、尊厳、その人を他者から際立たせる属性にも結びつきます。
したがって、「影」は重要な入口ですが、セリティを人が放つオーラや物理的なエネルギーと同一視する根拠にはなりません。
2. 人であることと、認められる人格
論文には、すべての人が人であることによってセリティを持つという説明があります。その一方で、知性、雄弁、思慮、親切、寛大さ、歓待、誠実さ、他者への敬意を通じて、「セリティのある人」と認められる水準も語られます。
人であることに伴う尊厳と、行為・関係のなかで育ち評価される人格。この二つを区別すると、セリティを単なる評判にも、個人の内面だけで完結する自尊心にもせずに読めます。
3. Category A・B・C
Rathete は、過去から調査当時までの意味の変化を分析するために、セリティを三つに分類しました。
- Category A: 人格、倫理、知性。雄弁、記憶、親切、寛大さ、誠実さ、相互の尊重など。
- Category B: 祖先、儀礼、通過、保護。祖先との関係や、人生の節目を共同体へ組み入れる実践など。
- Category C: 害や不当な優位。他者を害したり、他者の犠牲によって利益を得ようとしたりする実践。
これはRatheteが資料と質問紙を読むために設けた分析枠です。北ソトの人びとが、日常的にセリティをA・B・Cと呼び分けてきたという意味ではありません。
BとCは、儀礼や強化という語彙を共有する場合がありますが、同じものではありません。何を目的とし、誰に利益と損失をもたらすかが重要な判断軸です。
4. 社会変化の中のセリティ
Rathete は文献・諺・儀礼記述によって過去の意味を調べ、質問紙と聞き取りによって2000年代の理解を調査しました。親切、寛大さ、慈悲、誠実さなどAの側面が支持される一方、強い薬による保護、不当な幸運、威圧などB・Cの一部は支持を失っていました。
男性については、多くの牛・妻・妾を持つことより、家族を支え、妻を尊重し、平等と誠実さを重んじることが支持されました。女性については、教育や仕事が認められながら、婚姻や家事に関する古い役割期待も残りました。セリティは、尊厳の基準が社会とともに変わり、その変化が不均等であることを考える材料にもなります。
この概念が登場するブログ記事
- 影だけでは捉えられない尊厳:セリティとは何か
- セリティの三つの顔:徳・祖先・不当な力
- 尊厳の物差しは変わる:男性像と女性像のずれ
- 誰がセリティを測るのか:尊厳を認める側の責任
- 子どもにもセリティはある:尊厳と成長の二重構造
- 通過儀礼は、人を大人にするのか
- よい指導者は、何をもたらす人か
- 共同体の中で、個人は消えるのか
- 伝統を守るとは、形を変えないことか
さらに深く知るためのガイド
- Matome Bethuel Rathete, The Reality and Relevance of Seriti in the Past and Present: Its Essence and Manifestation in an African Religion Perspective with Special Reference to the Northern Sotho, University of South Africa, 2007(UNISA Institutional Repository公開: 2009). UNISA Institutional Repository