セリティ(Seriti)

nakano
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概要

セリティ(Seriti)とは、南アフリカのソト・ツワナ語群に伝わる深遠な思想概念で、直訳すると「影(Shadow)」を意味します。しかし、それは光を遮る闇ではなく、アフリカの猛暑の中で安らぎを与える「木陰」のような、恩恵としての存在の広がりを指します。

セリティは、個人の内側に閉じ込められた資質ではなく、他者や世界と関わる中で放射される「生命の磁場(オーラ)」や「存在の響き」として捉えられます。

詳細解説

1. 外在する尊厳

西洋的な自尊心(セルフ・エスティーム)が個人の内面で完結しがちなのに対し、セリティは常に他者との関係性の表面に現れる現象です。あなたが部屋に入った時にその場の空気が変わる、その「空気の変化」そのものがセリティであり、他者の目に映り、他者の肌に触れる瞬間にのみ立ち現れる「外在する尊厳」と言えます。

2. 動的な生命力(力の存在論)

セリティは固定された属性ではなく、徳行や他者への献身、コミュニティへの貢献によって「強化」されたり、不誠実な行動によって「希薄化」したりする動的なプロセスです。これは、万物を独立した「実体」ではなく相互に影響し合う「力(Vital Force)」として捉えるアフリカ的宇宙観に基づいています。

3. 関係性の中の自己

「人は他者を通じて人となる」というUbuntu(ウブントゥ)の思想において、セリティはその哲学が日常に宿る具体的な姿です。影同士が重なり合い、響き合う(レゾナンス)プロセスを通じて、人は真の人間性(Motho)へと近づいていくと考えられています。

この概念が登場するブログ記事

さらに深く知るためのガイド

  • Matome Bethuel Rathete, The Reality and Relevance of Seriti in the Past and Present, University of South Africa, 2007.
  • Gabriel Marcel Setiloane, The Image of God among the Sotho-Tswana, 1976.