モト(Motho)

nakano
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概要

モト(Motho)とは、南部アフリカのソト・ツワナ語群において「人間」を指す言葉ですが、そこには単なる生物学的なヒト(Human Being)を超えた、倫理的・存在論的な達成としての意味が込められています。

「人は他者を通じて人となる(Ubuntu)」という命題において、「人(人となる)」の目標地点にあたるのが、この「モト」としての存在です。

詳細解説

1. 生成としての人間

アフリカ哲学において、人間であることは「与えられた状態」ではなく「獲得していくプロセス」です。自分勝手な行動をとったり、コミュニティの調和を乱したりする者は、「人間ではない(Hase motho)」と評されることがあります。これは、その人が人間としての高いセリティ(尊厳/影)を失い、単なる個体に退化したことを意味します。

2. セリティとの関係

モトとしての完成度は、その人が放つセリティ(影)の質によって測られます。豊かな影を投げかけ、他者の影を包み込み、コミュニティ全体に生命力をもたらす人こそが、真の意味での「モト」と呼ばれます。

3. 社会的ネットワークの中の自己

モトは孤立して存在することはできません。先祖(Badimo)、家族、コミュニティ、そして自然界との適切な関係性の中に組み込まれていることこそが、モトであることの必須条件です。

この概念が登場するブログ記事

さらに深く知るためのガイド

  • Gabriel Marcel Setiloane, The Image of God among the Sotho-Tswana, 1976.
  • Matome Bethuel Rathete, The Reality and Relevance of Seriti in the Past and Present, 2007.