天志

nakano
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天志(てんし)

概要

天志とは、墨家が義と不義を判断する最高の基準とした「天の意志」です。「天志上」は、天志を車輪職人の規や工匠の矩にたとえます。円や四角を測る道具のように、行為が義にかなうかを測る物差しになるというのです。

ただし、天は感情をもたない規則やコードではありません。『墨子』では、人々を兼ねて愛し、互いに利することを望み、善を賞し不義を罰する道徳的な主体として語られます。天志の公的な基準性と宗教性は、切り離さずに読む必要があります。

詳細解説

墨家が天志を必要とした背景には、人間の判断だけでは義が分裂するという問題があります。君主や知識人は、それぞれ異なる言葉で仁義を語ります。そこで墨家は、個人や国家の利害を越えて判断を測る基準を天に求めました。

天の意志は、兼愛と交利の方向へ向きます。兼愛は、全員へ同じ感情を抱くことではなく、自分や自国だけを特別扱いせず、他者の生命・家・国にも配慮を及ぼすことです。交利は、その配慮を互いの利益になる行為へ移します。

この基準は、天子を含む地上の権力者も評価します。しかし、天の意志を誰が正しく解釈するのかという問題は残ります。天志は権力者の恣意を越える基準である一方、その基準を語る権威が新たな力を持つ可能性もあります。

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