天志
nakano
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天志(てんし)
概要
天志とは、墨子の思想において、人間社会の秩序を主宰し、正義の基準となる「天の意志」を指します。墨子の言う「天」は神秘的な宗教的存在というよりも、全員が平等に参照できる、感情や血縁に左右されない「絶対的な共通基準(プロトコル)」として機能します。
詳細解説
天志の具体的な内容は、「兼愛(すべての人を等しく愛すること)」と「交利(互いに利益を与え合うこと)」の2点に集約されます。
墨子は、正義の判断基準を感情や血縁から切り離し、「社会全体の機能が向上し、利益が公正に分配されるかどうか(有用性)」に置きました。これは、後にジェレミ・ベンサムが提唱した功利主義(最大多数の最大幸福)に非常に近い考え方です。
「尚同」のシステムにおいて、天子(最高権力者)が恣意的な支配に走らないよう、天子もまたこの「天志」に従わなければならないとされました。つまり、天志は現代のスマートコントラクトのように、人間の感情や利害に左右されずに組織を最適化するための「究極のコード」として設計されていたのです。