タットヴァールタ・スートラ
nakano
4 min read
概要
『タットヴァールタ・スートラ(Tattvartha Sutra)』(実存の真実についての経典)は、紀元2世紀から5世紀頃にウマースヴァーティによって著されたジャイナ教の聖典の一つです。
ジャイナ教のすべての教派(白衣派・空衣派)から等しく尊重されている最初の哲学的著作であり、それまで散在していた教義を「スートラ(短句)」の形式で体系的にまとめ上げました。特にその認識論と存在論は、多様なインド哲学の中でも独自の地位を占めています。
詳細解説
1. 題名の意味
「タットヴァ(Tattva)」は「真実・原理」、「アルタ(Artha)」は「意味・対象」を指します。合わせると「存在するものの真実の意味」を説く経典という意味になります。
2. 「七つの真理(タットヴァ)」
本典籍は、魂(ジーヴァ)が解脱に至るまでのプロセスを7つの真理(タットヴァ)として定義しています。
- ジーヴァ(魂): 生気(意識)
- アジーヴァ(非魂): 物質、時間、空間
- アースラヴァ(漏入): カルマの流入
- バンダ(束縛): カルマの魂への結合
- サンヴァラ(遮断): カルマ流入の阻止
- ニルジャラー(滅尽): 既存のカルマの消滅
- モークシャ(解脱): 完全な自由
3. 認識の罠の分析
『タットヴァールタ・スートラ』は、単なる修行規定ではなく、「人間はどのようにして世界を認識し損なうのか」を厳密に分析しています。アネーカーンタヴァーダ(多面的真理論)などの認識論を展開する際の理論的根拠を提供しており、私たちの「認知のバイアス」や「不注意」が、いかにして事物の本質を把握することを妨げているかを説いています。
この概念が登場するブログ記事
さらに深く知るためのガイド
- Wikipedia 「タットヴァールタ・スートラ」
- Nathmal Tatia (Translator), Tattvartha Sutra: That Which Is (The Institute of Jainology)